「あ、この店は違ったかな…」
お客さまは、入店した瞬間にそう感じることがあります。
料理を食べる前に。
ドリンクを飲む前に。
メニューを見る前に。
店の空気で、その店が“正解だったかどうか”は伝わってしまう。
自分が歓迎されているのか。
ここで気持ちよく過ごせそうか。
この店は、自分を大切にしようとしてくれているのか。
それは、言葉以上に空気で伝わるものです。
だからこそ、私たちが一番大事にしているのは
「お出迎え」 なのです。
「おもてなしの心」は、時代が変わっても変わらない
今回の店舗MTGでは、
「おもてなしの心」 をテーマに学び合いました。
教材として使ったのは古いDVDでした。
でも、見終わったあと、改めて感じました。
サービスの本質は、時代が変わっても変わらない。
お客さまを感動させるものは、
結局いつの時代も
「徹底したおもてなしの心」 なのだと。
30代、40代の私たちも。
10代、20代のメンバーたちも。
年齢に関係なく共通して感じたのは、
「大切な人をもてなしたい」という気持ちこそが、人の心を動かす
ということでした。
つまり、
人が感動するサービスの本質は、老若男女で変わらないのです。
僕がやりたいサービスは、「空間」で感動してもらうこと
今日は、僕自身が
どんなサービスをしたいのか を改めて考えてみたいと思います。
もちろん目指すのは「感動」です。
でも、何をもって感動していただきたいのか。
ここでいう感動とは、
実際に受けたQSCのレベルが、期待を大きく上回った状態
だと定義したいと思います。
では、何で感動していただきたいのか。
それは、やはり
「空間」 です。
ここに来れば、ただの居酒屋ではない。
居酒屋を超えた空間を体験できる。
- 楽しく酔える
- おいしく酔える
- 元気をもらえる
そんな空間の期待値を、
大きく超えたいのです。
空間をつくるのは、結局「人」である
では、その「空間」をつくるものは何か。
やはり、
人 です。
DXが進み、回転寿司店などでは
入口から退店までスタッフとほとんど接しない店も増えました。
それ自体を、私は悪いとは思っていません。
むしろ、DXやフードテックが進むことには賛成です。
人がしなくていいことを機械が担ってくれるなら、
人はもっと人らしいサービスに集中できるからです。
でも――こんなことがありました。
スタッフが僕の席の後ろで固まって雑談をしていたらどうでしょうか。
食事そのものはできる。
お腹も満たされる。
でも、何かが足りない。
隣の席で、スタッフが大きな声で学校の話をしながら
ダラダラ片づけをしているのが耳に入ってきたら、
食事に集中できないし、
「皿の一つでも下げてくれたらいいのに」と残念な気持ちになります。
これは料理の問題ではない。
空間の問題 です。
テクノロジーが進むほど、「おもてなし」は人の仕事になる
今、飲食業界ではフードテックが進み、
以前よりも少ない人手で営業できるようになってきました。
これは本来、すごく良いことです。
昔の外食産業は、
- 低賃金
- 長時間労働
- 体力勝負
そんな厳しい業界でした。
原価は高い。
利益率は低い。
参入障壁は低い。
競合は多い。
そういう厳しい世界の中で、
働く人もふるいにかけられていく。
正直、そういう面があったと思います。
でも今は違う。
テクノロジーが進んだことで、
本来人がしなくていいことは減ってきた。
だからこそ、
人は「おもてなし」に集中できる時代になった。
つまり今は、
「おもてなしをしたい」と思う人にとっては、
実は最高の時代なのです。
だからこそ、最初にやりたいのは「心のこもったお出迎え」
料理がおいしいことは大切です。
ドリンクは早く持っていかないといけない。
トイレもきれいでなければいけない。
でも、それより先に、
私たちが一番大切にしたいのは
「心のこもったお出迎え」 です。
おもてなしをしたいと思えば、
自然と頭は下がるし、笑顔にもなる。
1秒でも早くお客さまに近づいて、席についてもらいたいと思うはずです。
だって、お客さまはもう、
いろんな店を探して歩き回って、くたくたなんです。
高田の町をぐるっと回って、
やっとたどり着いた。
喉も渇いている。
だったら、
1秒でも早く、キンキンに冷えた中生を届けたい。
当然、
ファーストドリンクは商品の“入口” です。
泡のない中生。
ぬるいハイボール。
氷がスカスカのドリンク。
そんなものを出した瞬間、
お客さまは思います。
「ああ、失敗したな」
だから、
ファーストドリンクは早く、そして完璧でなければいけない。
それは単なるスピードの問題ではありません。
お客さまにとって、その1杯は
その日の店の第一印象そのもの だからです。
「声出ししない理由」が悲しかった
先日、トップメンバーMTGをしていて、
正直、このメンバーで話しても店は良くならないかもしれないと感じた瞬間がありました。
何の話題だったのか。
「声出し」 です。
「誰もしないから、自分もしない」
もし本気でそう思っているなら、
私はその発想自体が間違っていると思います。
僕は別に、
メンバーのために声を出しているわけではない。
みんなが楽しむために声を出しているわけでもない。
お客さまのために声を出している。
感謝やおもてなしの気持ち、好きという気持ちは「思う」ものじゃない。
「伝える」ものだからです。
好きという気持ちだって、お互いが初めて声にだして伝えあうことで分かり合える。
だからこそ「声出し」という形で、想いを伝えるんです。
想いを届けるのです。
みんながやらないからやらない。
みんながやっていないなら、自分もやらない。
それは、
「みんなでやれば赤信号でも渡っていい」
という発想と何も変わりません。
赤信号は赤信号。
いじめは、みんなでやってもいじめ。
やってはいけないことは、何人いてもやってはいけない。
同じように、
やるべきことは、一人でもやる。
僕はそう思っています。
だから、僕は一人でも声を出し続ける。
そして、上村さん、小林くんのように、
やるべきことをやる人がいてくれることを、本当にうれしく思っています。
お客さまは、ちゃんと見ている
お店で「おもてなし」をしようとしているかどうか。
それは、お客さまが一番よく見ています。
先日、いつも来てくださる方がこう言いました。
「店長がいない日に来たけど、静かで寂しかったなあ…」
この「静か」が何を意味していたのか、正確にはわかりません。
本当に有線が止まっていただけかもしれない。
でも、私はきっと、
お店の元気さがなかった ということだと思っています。
お客さまを迎えようとする気持ちが感じられなかった。
だから、寂しかった。
そういうことだと思うのです。
そして私は、
こういうことを聞いて悲しくなれる人であってほしい。
悲しいと感じ、共感できる人に育ってほしい。
心からそう思います。
「おもてなし」は入口だけでは終わらない
もちろん、
大切な気持ちは入口で燃え尽きてはいけません。
お食事中も同じです。
- お皿が空いたら下げる
- グラスが3分の1になったらお代わりを伺う
- 困っていそうなら先に気づく
フードテックが進んだ今、
飲食でサービスをしたい人にとっては最高の時代です。
なぜなら、
本来やりたかったこと――
「大切な人に、大切だよと伝えること」
に集中できるからです。
オーダーも、配膳も、会計も、
AIやロボットや機械が手伝ってくれる。
では、人は何をするのか。
楽をして、ぼーっとするためにいるのではない。
お出迎え、お見送り、テーブルサービス、声出しを通して、
“あなたを大切に思っています”と表現するためにいる。
だからこそ、
今よりもっと「ありがとう」と言っていただける人は増える。
もっと愛される店になっていける。
僕は、本気でそう思っています。
最後に
今回の店舗MTGで僕が考えていたことを、
あえてストレートに言葉にしました。
厳しい表現もあったかもしれません。
でも、それは本気で店を良くしたいからです。
そして、あなたに本気で変わってほしいからです。
少しでも、何か一つでも、
いい方向に変わるきっかけになればうれしいです。
さあ!
今週も、お客さまに元気を与えていきましょう!




