こんにちは、セプテンマリアの代表、真部裕充です。
仕事で成長を実感できないときは、先輩との差だけでなく、以前の自分と同じ場面を比べてみたい。任される仕事の名前が変わらなくても、何を見て判断し、どこで確認できるようになったかに、変化があるかもしれない。
たとえば、アルバイトを始めてしばらくたった人が、「今日も料理を運んで、席を片づけて終わった。自分は成長しているのかな」と思ったとする。これは、考えるための仮の場面だ。
近くでは先輩が、次々に仕事を進めている。それを見ると、まだ追いつけないところばかりが気になる。あなたにも、似た気持ちになる場面はないだろうか。
同じ仕事でも、見ているところは変わる
僕は、働く仲間ができることを増やし、自分の未来を考えられる会社をつくりたい。だから、同じ作業を続けているから成長していない、とすぐには決めたくない。
先ほどの料理を運ぶ仕事なら、最初は席の場所を探すことで精いっぱいだったかもしれない。今は、届けるものを確かめたうえで、お客さまが受け取りやすいタイミングまで見ようとしているかもしれない。
同じ一皿を運んでいても、見ている範囲は同じとは限らない。作業の名前だけを並べると、その違いは隠れてしまう。
もちろん、慣れたつもりで確認を省いていれば、良くなったとは言えない。速くなったかだけでなく、必要なことを確かめて仕事を終えられるか。そこまで見たいと思う。
先輩との差と、自分の変化を分けてみる
先輩を見ることにも意味はある。自分が知らない工夫や、次に覚えたいことが見つかる。ただ、経験の違う相手との距離だけを測っていると、自分が動いた分を見落とすこともある。
たとえば、前は分からないまま手を止めていたところで、今は「ここまでは確認できました。この先の判断を教えてください」と聞けるようになった。これも、仕事の変化だ。
一人で全部決められることだけを、成長にしたくない。自分で進めてよいところと、責任者に確かめるところを分けられる。その力も、現場で必要になると思う。
比べるなら、忙しさや担当する仕事など、条件も一緒に見てみよう。落ち着いた時間にできたことが、混み合う時間には難しかった。そういうときに、単純に「昨日よりできなくなった」で終えない。どの場面で止まったかを、もう少し具体的にしたい。
できたことを、ひと言で終わらせない
振り返るときは、大きな成果を探さなくてもいい。「前はどうしていたか」「今回はどう動けたか」を、一つの仕事で話してみる。
たとえば、片づけの途中で必要な備品が足りないと気づき、作業を終える前に補充できた。以前は、次の人に言われるまで気づかなかった。そんな違いなら、何が変わったかを確かめられる。
ただ「今日は頑張った」だと、次にも使えることが分かりにくい。何を見たから気づけたのか。どの順番にしたら進めやすかったのか。そこを自分の言葉にしてみる。
うまくいかなかったことも同じだ。全部ダメだった、とまとめず、どこまではできたかを分けてみる。その続きが分かれば、次に教わりたいことも、少しはっきりする。
僕も、「まだできない」だけで人を見ない
ここは、教わる人だけに任せる話ではない。会社や教える側も、その変化を具体的に見ていたい。
昨日まで迷っていたところを、今日は確かめて進められた。周りに言われる前に、必要な準備を一つできた。そうした場面を見たなら、何が良くなったのかを伝えたい。
「成長したね」だけでなく、どの仕事の、どの動きが変わったかまで話す。反対に、直してほしいことがあれば、何を確かめればよいかを返す。僕自身も、結果だけで判断を急がないようにしたいと思う。
それでも本人と見方が違うことはあるだろう。自分はできたと思っていたが、確認が残っていた。教える側は変化に気づいていなかった。だから、一緒に場面を振り返る余地がいる。
これは、新しい評価制度や昇給の約束の話ではない。日々の仕事の中で、身についた力と、これから必要な力を分けて考えたい、という提案だ。
次の勤務で、確かめたいことを一つ
仕事ができるようになることは、誰かより偉くなることではないと思う。お客さまのために動ける範囲が増える。仲間が必要としている仕事を、少し多く引き受けられる。その変化を大切にしたい。
今日、いつもの仕事を一つ選んで、始めたころと比べてみてほしい。何を見られるようになったか。どんな確認ができるようになったか。反対に、まだ迷うのはどこか。
変化が見つからなければ、無理に良かったことを作らなくていい。「次はここを教えてもらいたい」と、確かめることを決めるところからでも始められる。
先輩の仕事から学びながら、前の自分の動きも見てみる。僕も、できていないところを指摘するだけでなく、仲間が身につけた力を具体的に捉えられる人でありたい。
教える側が用意したい土台については、「飲食店の新人教育、『見て覚えて』で終わらせない。会社が整える三つのこと」にも書いた。教わる順番と、身についたことの確かめ方。その両方を考えていきたい。


