「やってみたけれど、成果がわからない」。
そんなとき、次に何を確かめればいいのだろう。
飲食店の改善は、試した後の判断にも迷う。

たとえば、店の案内を少し変えてみたとする。
前より伝わりやすくなった気はする。でも、よくなったと自信を持って言えるほどではない。
もう少し続けるか。元に戻すか。別のやり方に変えるか。

こんにちは、セプテンマリアの代表、真部裕充です。
今日は、「やってみたけれど、成果がわからない」。その経験を次に渡すために、何を残したいかを書いてみる。

飲食店の改善を、成功か失敗の二択にしない

僕は、学んだことを実際に使ってみたいと思う。
大学時代にも、学んだ起業家精神を生かそうと、複数の大学で催しを開いた。開催はした。でも、よい出来だったとは言えなかった。
それで、もっと学ぼうと思った。

知っていることと、実際にできることは違う。
やったことと、相手の役に立ったことも、同じとは限らない。
だから、試した後を「成功だった」「失敗だった」のひと言で終わらせるのは、もったいないと思う。

うまくいかなかったなら、どこがわからなかったのか。
手応えがあったなら、何を見てそう思ったのか。
次に試す人が、同じところから考えられるようにしておきたい。

一つ目は、「何を変えたか」

ここからは、振り返りのための提案だ。
立派な報告書ではなく、三つの短いメモを考えてみたい。
まずは、変えたことを、後からわかる言葉で残す。

たとえば、店で使う案内の説明順を、責任者と相談して変えたとする。
「説明を工夫した」だけでは、何をしたのか伝わらない。
先に伝えていた情報は何か。何を後にしたのか。どの場面で使ったのか。
そこまで書けば、別の人も内容を確かめられる。

案内の順番と、置き場所と、声をかけるタイミングを一度に変えたら、何が関係したのかはわかりにくくなる。
できる範囲で、確かめたいことを絞る。
もちろん、安全や衛生、商品やサービスの決まりを、勝手な試行の対象にはしない。

二つ目は、「実際に何が起きたか」

次は、見たことと、自分の解釈を分ける。
「わかりやすくなった」は、こちらの感想だ。
説明の後に、同じ内容をもう一度聞かれたのか。説明する側が途中で言い直したのか。
まず、その場で確かめられたことを残したい。

数字で見られることは、数字でも確かめる。
ただ、注文が増えた日だったとしても、それだけで案内の変更が理由だとは言い切れない。来店の状況が違ったかもしれない。
結果が変わったことと、その理由がわかったことは、分けておきたいのだ。

ここで、都合のよい反応だけを拾わない。
伝わったように見えた場面も、相手が迷った場面もあるなら、両方を見る。
お客さまの気持ちを、僕たちの期待で決めてしまいたくない。

三つ目は、「まだ何がわからないか」

最後のメモは、答えではなく、残った問いだ。
混んでいる時間にも同じように説明できるのか。
慣れていない人にも使いやすい順番なのか。
今回は試せた場面が少なく、まだ判断できないのか。

「わからない」と書くのは、仕事を放り出すこととは違う。
何がわかれば次を決められるかまで考える。そこが大事だと思う。
試す場面を変えるのか、説明する人の困りごとを聞くのか。次に確かめることが一つ見えれば、経験はそこで止まらない。

続けることだけが前進でもない。
店の仕事に無理が出るなら、責任者と相談して戻す判断もいる。
「せっかく考えたのだから」と、やり方を守るために、お客さまや仲間を困らせるのでは順番が逆だ。

社長の僕が、先に答えを決めすぎない

この振り返りで、僕が気をつけたいこともある。
社長が「この案はいいはずだ」と言い切ってしまえば、やりにくかったという話を出しづらくしてしまうかもしれない。
僕の案であっても、現場で起きたことから考えたい。

担当した人の頑張りと、やり方の良し悪しも分けたい。
結果が出なかったから、すぐに本人のやる気の問題にしない。
試せる条件はそろっていたか。伝え方に無理はなかったか。僕の頼み方は具体的だったか。
経営者として、そこも振り返りたいのである。

僕たちは、お客さまに体験を届けながら、自分たちも現場で学ぶ会社でありたい。
その学びを、「やった人だけが知っている」で終わらせたくない。
うまくいった理由がまだ見えない日にも、次に使えるものは残せると思う。

次に何かを試したら、勤務時間の中で、短く振り返ってみよう。
変えたこと。起きたこと。まだわからないこと。
全部にきれいな答えがなくてもいい。仲間と一つの事実を確かめるところから、次の改善を始めたい。

以前の「仕事は楽しいかね?」では、試すことの大切さを書いた。
今日は、その後に残る問いの話だ。試した経験を、次に働く仲間にも渡せる店にしていきたい。