こんにちは、セプテンマリアの代表、真部裕充です。
飲食店のDRMは、誰に、何を提案し、どう反応してもらうかを決め、その後の来店と再来店までつなぐ仕事だと思う。広告を出したあとの数字と、店の中で起きていることまで見て、利益の残る集客をつくりたい。
チラシを配った。
LINEも送った。
広告も出してる。
なのに、思ったほど売上が増えない。
たとえば、そんなとき。
次はもっと割引しようとか、広告費を増やそうとか、つい入口のことを考えてしまう。
でも、その前に見ておきたいことがある。
来てくれたお客さまに、次も来てもらう準備はできているのか?
今月のNOBSレターを読みながら、改めて店舗のマーケティングを考えてみた。
DRMって、結局なにをするの?
DRMは、ダイレクト・レスポンス・マーケティングのこと。
誰かに提案を届けて、問い合わせ、予約、来店などの反応をもらう。
その反応を確かめて、次の提案を変えていく。
飲食店なら、チラシを配って何組来たか。
LINEを送って何件相談があったか。
その人たちが実際に来て、いくら使い、また来てくれたか。
ここまでをつないで考えたい。
「けっこう見られてますよ」
それはうれしい。
でも、そこから何が起きたのかがわからないと、次のお金の使い方を決められないんですよね。
忘年会を売るなら、ご幹事様の仕事を考える
まずは、誰に来てもらいたいか。
忘年会なら、ご幹事様。
もう少し絞れば、会社の忘年会を初めて任されて、予算と人数の間で悩んでいるご幹事様。
この人が欲しいのは、安い料理だけだろうか。
上司に説明できること。
参加する人が楽しめること。
人数が変わったときに、どうすればいいかわかること。
そういうことも、店選びの材料になると思う。
だから、たとえば相談を受け付ける仕組みをつくるなら、案内も具体的にする。
「会社の忘年会を任されたご幹事様へ。希望日・人数・ご予算をお知らせください。条件に合う候補をご案内します」
こんなふうに、相談する内容と、そのあとにわかることを示す。
返信先や連絡方法も、探さなくていいようにする。
ただし、その案内を出すなら、店側で答えられる準備が必要だ。
席も、コースも、変更条件も、担当者によって説明が違っていたら困る。
広告に書いた約束を、現場で守れるか。
ここまで含めて、オーナーの設計だと思う。
無料にすれば、人は来る。でも、そのあとどうする?
今月号には、地域の人たちへ無料でランチを提供し、そのあとに次回来店の提案を渡した惣菜店の事例が載っていた。
おもしろいのは、最初に体験してもらうところから、次の利用まで考えていることだ。
これを読んで、よし、うちも全部無料だ!
……とは、さすがにならない。
原価もかかるし、人も必要だ。
せっかく来てもらっても、提供が遅れてがっかりさせたら、その費用は何だったのかという話になる。
僕なら、まず小さく試す方法を比べたい。
| 試す方法 | 何を確かめるか | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 案内を受け取ることに同意している既存のお客さまへ、利用場面に合う提案を送る | 相談・予約・再来店につながるか | もともと来る予定だった人への値引きが増えていないか |
| 近隣の新しいお客さまへ、条件を明確にした特典を案内する | 初回来店のきっかけになるか | 特典の費用と、来店後の満足・再来店を確かめる |
| 対象人数と時間を絞って、試食や体験の機会をつくる | 味や店の雰囲気を知った人が、その後利用するか | 仕込み、追加人件費、通常のお客さまへの影響を見込む |
最初は、既存のお客さまへの提案から試したい。
届ける相手と、利用してほしい場面を考えやすいからだ。
もちろん、それで必ずうまくいくわけではない。
だから、対象と費用を決めて、結果を見てから広げる。
「何件戻った」だけでは、まだ足りない
たとえば忘年会の案内なら、次のように分けて記録する。
何件に届けたか。
何件相談があったか。
何件予約になったか。
実際に何組、何人来てくれたか。
そのあと、もう一度利用してくれたか。
相談は多いのに予約にならないなら、希望の日程、人数、予算に合わないのかもしれない。
予約にはなるのにキャンセルが多いなら、確定までの説明に課題があるのかもしれない。
全部を「広告が悪い」で片づけてしまうと、直す場所がわからない。
LINE、DM、チラシで、受付時の記録や識別する番号を分けてみる。
複数の案内を見た人は、そのように残す。わからなければ、不明でいい。
都合のいい数字をつくるよりも、わからないところが見えるほうが、次につながると思う。
売上が増えても、お金が残らなければ困る
例えば、仮に次の条件で販促をするとしよう。
通常の売上は1人4,000円。
1人500円の特典をつける。
料理などの変動費は1人1,600円。
広告の制作・配布費は30,000円。
この場合、特典を使った人から残るのは、広告費を引く前で1人1,900円になる。
4,000円-500円-1,600円=1,900円。
この販促によって純粋に増えたお客さまが30人なら、
1,900円×30人-30,000円=27,000円。
10人なら、11,000円の赤字だ。
同じ条件で広告費を回収するには、少なくとも16人の純増が必要になる。
これは考え方を示す試算で、うちの実績や実施中のオファーではない。追加人件費などがあれば、さらに差し引く必要がある。
そして、特典を使った30人全員が、販促がなければ来なかった人とは限らない。
もともと来る予定の人が使った分は、そのまま純増にはできない。
ここを見ずに「クーポンが戻った!成功!」では、危ないんですよね。
次回来店も、期待で足し込まず、実際に確認する。
初回で回収するのか、その後の利用も含めて回収するのか。費用をかける前に決めておきたい。
来てもらったあとに、もう一度選ばれる店へ
ご幹事様への案内が丁寧でも、当日の料理が遅ければ、約束は果たせない。
特典が魅力的でも、店の中が落ち着かなければ、次の来店は遠くなる。
広告と営業は、つながっている。
来店後にお礼を伝えるなら、案内を受け取ることへの同意と、店で決めた連絡方法に沿って行う。
気になったことを聞き、次に利用してもらえる場面があれば提案する。
もう案内はいらないという方の希望も、きちんと受け止める。
僕たちがつくりたいのは、また行こうと思い出してもらえる関係だ。
まず、一つの相手に、一つの提案をする。
短い期間で小さく試して、相談から来店、利益まで確かめる。
それを現場と一緒に振り返る。
その集客、次の来店まで考えてます?
広告費を増やす判断の前に、僕自身も問い直したいと思う。
参考:ダイレクト出版『No B.S.マーケティング・レポート』2026年10月号、誌面17〜18・21〜27・29〜33・54〜55ページ。店舗への応用、比較表、試算は本記事で考えたものであり、同誌の事例の再現や成果を保証するものではありません。
DRMの測定について:Dan S. Kennedy「3 Tasks You Must Do After Sending a Marketing Campaign」。


