こんにちは、セプテンマリアの代表、真部裕充です。
「飲食店の地域貢献」と聞くと、どんなことを思い浮かべるだろう。
大きなイベントを開くこと。寄付をすること。新しい店を出すこと。
もちろん、そうした取り組みにも意味がある。ただ僕は、地域を元気にする仕事は、もっと普段の営業の中にもあると思っている。
目の前のお客様が、気持ちよく過ごせる一時をつくる。
その小さな積み重ねから、僕たちの地域貢献は始まる。
飲食店の地域貢献を、特別な日だけにしない
僕は飲食の仕事を始めた後、郡山で東日本大震災を経験した。
仕事も暮らしも、いつもどおりにはいかなくなった。その中であらためて感じたのが、人が同じ場所に集まり、顔を見て、温かいものを食べる時間の大切さだった。
食事は、料理を口に運ぶだけの時間ではない。
誰かと話す。少し息をつく。大切な人と、その日を一緒に過ごす。
飲食店は、そうした時間のための場所でもある。だから地域への貢献を、特別な活動だけで考えたくない。普段の営業で、安心して過ごせる一時をつくることも、僕たちにできる大切な仕事だ。
最初の一歩は、今日のお客さまを見ること
地域を元気にする、と言うと話が大きくなりやすい。
でも、その地域にいるのは、一人ひとりのお客さまだ。
入口で迷っていないか。席は気持ちよく使えるか。料理や飲み物を待つ間に、不安を感じていないか。会計を終えたときまで、落ち着いて過ごせるか。
すべてを完璧にできる日はないかもしれない。それでも、自分の持ち場から相手を見ることはできる。
たとえば、手が止まっているお客さまがいたら、何か探していないかを考える。仲間が対応中なら、自分に引き受けられる仕事を探す。これは説明のための例だが、地域を元気にするという言葉を、目の前の行動まで小さくしたいのである。
一人のお客さまを大切にできずに、地域全体を元気にすることはできない。
僕は、そう考えている。
働く人が育つことも、地域への貢献になる
店に来るのは、お客さまだけではない。ここで働く人も、地域で暮らす一人だ。
僕たちは、「社会人0年生を1年生へ導く」という考えを大切にしたい。初めて働く人が、話を聞く。約束を確かめる。わからないことを質問する。自分の仕事の結果を見る。
そうした経験を、地方にいながら増やせる場所をつくりたいと思っている。
最初は自分の仕事を覚える。できることが増えたら、次の人に伝える。やがて、店をよくする提案や、仲間を支える役割にも挑戦する。
もちろん、入った人全員が同じ道を進むわけではない。成長の速さも、得意なことも違う。会社が一方的に理想を押しつけるのではなく、教える順番や相談先を整え、本人と話しながら仕事を広げる必要がある。
働く人が力をつけ、その力を次の人に渡す。その循環が地域に増えることも、僕がつくりたい地域貢献の一つだ。
続けられる商いにするのは、会社の責任だ
良いことをしたい、という思いだけでは、仕事を続けられない。
お客さまに選んでいただき、売上をつくり、必要な費用を払い、次の営業を準備する。利益が残れば、設備を整え、教える時間をつくり、新しい挑戦の準備ができる。
だから僕は、地域貢献と経営を別々に考えたくない。
働く人の無理だけに頼って、店を続けるのも違う。元気を届ける側が疲れ切ってしまえば、長く続けることは難しい。仕事量や教え方を整え、困ったときの相談先をはっきりさせる。よく働き、よく休める状態を考えることも、会社が引き受ける仕事だ。
目の前のお客さまを大切にすること。
働く人が成長できる場所をつくること。
そして、その店を明日も開けられる商いにすること。
この三つをつなげてこそ、地域への貢献は続いていく。
次の営業で、一人だけ具体的に見る
次の営業で、地域全体を元気にしようと力む必要はない。
まず、一人だけ具体的に見てみよう。
目の前のお客さまでもいい。一緒に働く仲間でもいい。その人が少し気持ちよく過ごすために、自分にできることは何か。
声をかける。確認する。片づける。教える。引き受ける。
小さな行動でも、相手を見て選んだ行動なら、店の空気をつくる一部になる。
僕は、目の前の人を明るくできる場所を、一つ、二つ、三つと増やしていきたい。その出発点は、今日の一時だ。
接客について会社と社長が先に考えることは、以前の「飲食店の接客をよくしたい。だったら、社長の僕が先に考えること」にも書いた。あわせて読んでもらえたらうれしい。





